卵巣機能向上・排卵・卵子の質の改善

●はじめに

自然妊娠でも体外受精でも、平均の結婚年齢が30歳以上となった現在では、妊娠しにくい原因として特に決定的なものが見つからない場合は、卵巣の老化による妊娠のしにくさが、強く疑われます。

 

もっとも、卵子だけではなく精子も老化することが近年では良く知られるようになってきました。これは別のページで解説します。

 

卵巣卵子の老化で問題になっているものは、下記に2つ挙げます。

 

卵巣全体の老化

卵子は、毎周期に1個排卵します。

一方、卵巣には卵になる細胞はどのくらいあるのか?というと、21歳~25歳の妊娠適齢期で約10万。

当院に来院の多い35歳以上になると、2万とかそのくらいの数字になります。

 

卵母細胞の数

 

一方、毎月1回(1周期)に1個排卵があるとして、仮に40年の月経期間があるとすると、年13回の排卵×40年=520個あれば問題ない、という事になります。

 

ところが、毎回1個排卵するためには、500個とか2000個の卵の中から1個だけ優れた卵を選ぶという、排卵のシステムがあります。

そのため、とんでもない早さで卵巣の中の卵になる細胞(卵母細胞)が減っていくのです。

 

減ってしまった卵母細胞は新しく作ることはありませんので、減っていく一方になります。やがて、卵母細胞がなくなると閉経を迎えます。

 

閉経となる途中で、卵母細胞が減っていくと、脳下垂体からの卵巣の反応が悪くなるので、脳下垂体からは余計にホルモンを強く出すようになります。

この時の指標は、血液から調べるFSH(卵巣刺激ホルモン)で、値が小さければそれだけ卵巣の反応性が良好(卵母細胞が十分残っており、かつ反応性が良好)となります。

 

体外受精などで排卵誘発を繰り返したり強い刺激方法で誘発をすると、14mIU/ml以上とかに上がり、今回は排卵誘発ができなかった、とかいう話を良く聞きます。

 

以上、卵子の元になる卵母細胞の数が減っていくことが卵巣全体の老化の一つです。

 

これに対して、鍼灸は卵巣や骨盤内の血行を改善する治療を目的とします。

 

FSH高い場合、多くは数周期の鍼灸治療で改善します。

体外受精などで反復して採卵を行って卵巣機能が落ちているような方にはぜひおすすめいたします。

 

カウフマン療法を受けていらっしゃる方でも、同時に鍼灸治療を行うことが出来ます。


鍼灸は、ツボと呼ばれる刺激点を選ぶことにより、特定の臓器の血行を改善する働きがあります。

子宮に関しては、前ページの子宮と黄体の働きの改善で書いた通りですが卵巣に関しても、ツボを変えることによって子宮と同様に卵巣の血流を改善する事が出来ます。

 

 

 

 

 

卵子の質の改善 卵子老化への対策

卵子の老化は、さまざまな原因で起こってきますが、もともとはやはり年齢が原因となります。

もともと持っている卵子の元になる卵母細胞が減ることは上記でお話ししましたが、残っている卵母細胞内でも、加齢による変化が起こってきます。

その結果、やがて排卵を目指して成長を開始して栄養の不足した卵になることがあります。

体外受精での採卵後、受精確認しても初期の胚の状態で成長が停まってしまったり、胚盤胞になって子宮に移植しても妊娠しなかったり、という事が起きてきます。

 

当院ではこうした卵子の老化に対しての鍼灸治療を行っています。

 

卵子の老化に対する治療では、加藤レディスクリニック、新宿ARTクリニック(ともに東京)の共同研究で、高齢卵巣に血管に成長する幹細胞を移植するという実験が厚生労働省に申請されました。

名目は更年期障害の治療の研究という事でしたが、老化卵巣・卵子老化の治療であることは明白です。

国内最先端の生殖医療を行う施設が、卵巣の血行改善を卵巣卵子の老化対策として研究しているわけです。

 

加藤レディスクリニック・新宿ARTクリニックの共同研究

(東京経済新聞WEB)

 

卵子の老化の大きな原因の一つに、卵巣周囲の血行の不良があります。

 

自然妊娠のほか、特に体外授精での採卵で空胞が多かったり、卵胞の発育が悪く採卵できなかったり、授精後のグレードが悪かったりする方はぜひおすすめいたします。

 

鍼灸治療に加え、追加料金なしでレーザー治療も併用で行います。

 

 

 

 

4~8ヶ月の継続治療で良い卵巣、卵子の状態になります。

卵子の成長は下記の図の通りですが、卵子への血行を改善し、それによって良い栄養状態にするには、ある程度の期間と治療回数が必要です。

 

卵子の成長図

 

卵子は約1年をかけて、先行する卵子の排卵の13回のLHサージで成熟します。

 

排卵間近の3ヶ月前には、前胞状卵胞という状態になり、AMHの測定する時期ですが、この時に卵巣の血行が改善している必要があります

 

治療開始から、最初の3ヶ月間は、2週で3回~1週に2回行ないます。(40歳以上は1週に2回を勧めます)

4ヶ月目からは1週に1回(40歳以上は、2週で3回以上)継続します。