
当院では、卵巣や卵管、子宮を含めた体全体の妊孕力(にんようりょく=妊娠しやすい体質・妊娠力)を高める治療を、下の図の3つの要因を改善することによって狙っています。

良好な卵胞の排卵を目指す
ストレスや体質の偏りなどで起こっている排卵障害、また良好な卵胞の排卵を目指すために、間脳や脳下垂体・卵巣系のホルモンの状態を良好にするような治療を行っています。
左の図は、脳~卵巣系のホルモンの連絡の模式図です。
GnRH(FSHやLHの分泌に深く関与する根源的なホルモン)は、性周期によって分泌の仕方が大きく変わります。
この分泌の切り替えはサーカディアンシステム(体内時計)によって動かされていると言われています。
朝目が覚めて、気分良く起床できる、また寝不足や疲労感の蓄積のない健康な体がこの体内時計のシステムを動かしています。
鍼灸治療は、体の表面に現れているコリや痛み、冷えなどを治療することによって、体内時計やホルモンが自然に働きやすい環境を作ると考えています。
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骨盤内臓器の栄養改善
女性側原因の多くに、私は東洋医学で言う瘀血(おけつ、悪い血)が関与していると考えています。

婦人科関連での狭義の瘀血とは、子宮内膜症などによる体外への自然排出が不可能な汚染血のこというのだと考えています。
卵巣で起きればチョコレート嚢胞と呼ばれ、卵胞の質を落とすこともあり、繰り返す子宮内膜症は、卵巣や卵管の癒着などを起こすことが知られていますし、卵管内に汚染血が残れば卵管の通過障害も引き起こされるでしょう。
またスムーズな月経が起こらないと、子宮の内膜の脱落も不自然に残ったりして受精卵ができても着床を妨げたりもするようです。
腹腔内に散らばった子宮内膜症による汚染血を処理するために、マクロファージが腹腔内で異常活性化を起こし、卵管内では精子まで捕食したり、マクロファージから出される化学物質が受精卵に悪影響を与える、とも言われています。
鍼灸治療では血行を改善し、瘀血に対して有効なツボがたくさんあります。
(腹部の圧痛と瘀血)
左図は、腹部瘀血の代表的な診察ポイントです。
圧痛と、強い月経痛などで瘀血の存在を疑います。
(腰部の瘀血の診察ポイントと治療点)
左図は、腰部から瘀血診る場合の診察ポイントです(赤っぽいエリア)
性交痛や排便痛、安静時の腰痛などで、排卵期以降から憎悪する傾向があれば瘀血を疑います。
(実際の治療風景)
左写真は20代半ばの方の治療風景です。
腰部の疲れ感や鈍痛は腹部瘀血と関連が深く、腰痛が軽快すると腹部の圧痛もなくなってきます。
原因不明でステップアップしていき、たとえば数回体外受精を行っても妊娠しない患者さんで、なかば病院での治療を諦めて鍼灸治療だけしている期間に自然妊娠される方がいらっしゃいます。
腹腔内の免疫が正常になり、妊娠したのではないかと考えるケースです。
もちろん医療は医療でとても大切です。
子宮内膜症の癒着などは鍼灸ではどうにもなりませんから、月経痛の強い方は病院での検査の上鍼灸を行った方がよいでしょう。
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冷えや血行の改善により、ホルモンの通路を確保する
脳下垂体から分泌されたFSH(卵胞刺激ホルモン放出ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)は、まっすぐ卵巣などに向かうわけではありません。
体中をまわって、やっと卵巣などに届き、働きかけます。
同じように、成熟卵胞ができたサインとして、血中エストロゲンの濃度を感知して排卵をさせるためにLHが急に大量に分泌されますが(LHサージ)、たとえば冷えがあって、足にしもやけなどがあったらどうなるでしょうか?
一気に放出されたホルモンも、このような血行の悪いところを通過するときに滞りが起きるのではないでしょうか?
写真は、冷えの改善と卵胞成育・排卵効果が期待できる足の治療点に鍼通電を行っているところです。
不妊で来院する患者さんのほとんどは、足や腰に冷えを訴える方です。
同時に月経と前後して頭痛や肩こり、腰痛などに悩まされる方が多いようです。
こういった不調を治すことが、妊娠力を高める一つの治療になります。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と鍼灸治療→
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